美容業界の問題や教育を改善したいという想いで設立された、大阪・心斎橋にあるロゼ&ビューティー美容専門学院(以下、ロゼ美)。以前には2度『サロンプロモマガジン』に登場していただきました。そして10月26日(水)、年に一度開催される校内コンテストがあるとのことで、『サロンプロモ』編集部がお邪魔させていただきました。いつもは学校主体で行なう校内コンテストですが、今回は初めての生徒主体での開催。生徒の中から実行委員を決め、彼らに運営を一任したそうです。自主性を育てるロゼ美らしい取り組み。一体どんな様子だったのか?開会式から表彰式まで密着しました!
タカラベルモントのTB-SQUARE osakaで行われる、年に一度の校内コンテスト。
気持ちの良い秋晴れの日。会場はロゼ美から約徒歩3分の距離にある、美容メーカー・タカラベルモントのショールーム「TB-SQUARE osaka」のセミナールーム。
1Fにはタカラベルモントが扱う商材や最新機器がズラリと並び、サロン開業の流れがわかるライブラリーなど、サロン経営に関する資料が揃っていてとても刺激になる空間でした。
この日は1年生33名、2年生18名の計51名がコンテストに臨みます。内容は、国家試験の実技でもある「ワインディング」と「オールウェーブ」。1年生はワインディングを2回、2年生は1回目がワインディングで、2回目にオールウェーブを行います。筆者が会場に到着すると、すでに生徒さんは準備を終え、コンテストに向けた最後の練習を行なっていました。
緊張の実技試験がスタート!
「道具から手を離してください。開会式を始めます」というアナウンスが入ると、ピリリとした緊張感が会場全体を包みます。離職率を減らすための“就職前教育”を大切にするロゼ美は、挨拶や返事、ルールを守ることを重んじています。この日も、ショールームを借りる立場であることを念頭に置いて、マナーを守り、配慮をして会場を使うようにとの注意が徹底され、生徒さんたちは素直に従っていました。
開会式では学園長の鍜貫一さんが挨拶。「結果は必ず何らかの形で出てくるけれども、ベストを尽くしてみて下さい。皆さんが頑張ってきた結果を出して下さい。最後にやって良かったなと思えるような1日を過ごして下さい」と述べ、いよいよ1回目の実技がスタート。制限時間は20分。皆、真剣な表情で作業に向かいます。
時間がくると、次は審査タイム。それぞれ自分のマネキンを会議室の後方に運び、先生方が審査を行います。
1回目のワインディングの仕上がりを見ると、やはり1年生と2年生の力の差は歴然。しかし、学院長の西里千亜紀さんに本日の感想をお聞きしたところ、「1年生に関しては現段階では本当にまだわからないです。ちょっと器用な子が少しできるかなという感じで、まだまだわからない。これを良い経験にしてほしいですね。2年生に関しては、器用な子も不器用な子も本当に今コツコツとやっているので、同列になってきています。授業でずっと国家試験課題をやっていますが、ほぼレベルが揃ってきたと思います」と期待を込めた表情でおっしゃっていました。
少しの準備とインターバルを置いて、2回目の実技へ。1年生はワインディング、2年生はオールウェーブです。制限時間は25分。1年生は1回目の反省を生かし、2年生は国家試験に向けて、緊張感をもったまま黙々と作業を行う生徒さんたち。その熱量になんだか勇気をもらいました。
鍜貫一学園長も生徒さんや作品をじっくり見守っていました。
そして、2回目の審査タイム。先生方の目も真剣そのものです。
2回目の審査では、生徒さんも自分が良いと思った作品に投票をすることができます。1人あたり5枚のコインが配られ、一番良いと感じた作品に2枚、他良いと思った作品に1枚ずつ3人まで投票可能。1年生は先輩の美しく仕上がった作品に「上手すぎる」などと感想を言いながら、思い思いにコインを置いていました。
ここでお昼休憩。張り詰めた空気もゆるみ、談笑しながらお昼ご飯を食べる生徒さんの姿がありました。
いよいよ結果発表。
さあ、全ての審査が終了し、結果発表。緊張の瞬間です。
1年生 ワインディング20分の部、2年生 ワインディング、1年生 ワインディング25分の部、2年生 オールウェーブと、順に受賞者が呼ばれていきます。彼らの健闘に惜しみない拍手が送られ、そのまま閉会式へと進みます。
閉会式では西里千亜紀学院長が挨拶。「皆さんお疲れ様でした。今日はどんな1日だったでしょうか。色んな悔しい思いや満足した想いがあると思います。大きな結果を得るには小さな行動の積み重ね。今身を置いている環境で、与えられたことを精一杯、一生懸命できるような人間になって下さい。楽ではなく、楽しみながら集中してこなせるようになったら、その後結果がついてきます。今日あまり何も思わない人は、一生懸命やってなかったのかなと思います。1年生は来年に向けて、今日から明日から一生懸命置かれた環境で学んでいって下さい。2年生はまずは国家試験に向けて一生懸命邁進して下さい。そしていつも言っていますが、その後が大事です。長い人生が幸せになるように、どんな機会も一生懸命チャレンジできる、そんな大人になって下さい」と生徒さんたちへ熱いメッセージを送りました。真剣に話を聞く生徒さんの姿が印象的でした。
そして最後に全員で記念撮影。こうして2022年度の校内コンテストは幕を閉じました。
西里学院長は校内コンテストの位置付けについて、「いつもの授業の日常から離れて非日常体験をすることで、技術の面白さなど、色々なことに気づいてほしい。そして本学の理念でもある“きっかけ x 自立”が根付いてほしいですね」と語っていました。この日の経験はそれぞれの胸にどのように響いたのでしょうか。若き美容師の卵たちを応援したくなりました。
将来はアメリカへ。選択肢を増やしてプロの美容師へ。
そして、前回春にインタビューをさせていただいた、2年生の今井杏さんと1年生の大畑蒼空さんに再会することができました。当日はコンテストの実行委員を任せられていたお2人。今井さんは就職先が決まり、アメリカで美容師をする夢に向けて一歩踏み出したところ。大畑さんはまだ入学して半年ですが、夏にお会いした時よりも頼もしい顔つきになっていました。
ーーコンテストの手応えはどうでしたか?
大畑「僕は1回目のワインディングが時間内に入らなくて、あと1本巻けなかったんです。まずは見た目よりも制限時間で終えないといけないなと思いました。2回目は1回目に比べて時間が5分長かったので、1回目よりも落ち着いてできたし、仕上がりも1回目よりは綺麗にできたかなと思うんですけど、とにかく僕の場合、もっと手を早めて時間を縮めないといけないと感じました」
ーー緊張しました?
大畑「すごくしました。昨日のうちから“あー明日コンテストやな”とずっと考えて」
ーー自分の課題も見えた感じですね。
大畑「はい、かなり多かったです」
ーー今井さんはどうでした?
今井「本番だと普段しない失敗をしたり、緊張や雰囲気に飲まれてしまう自分がいました。今回も練習では上手くいくことができなかったりして。自分的にはワインディングは全然納得いくものが作れなかった(といいつつも、ワインディング準優勝でした!)。逆に何も考えてなかったオールウェーブが落ち着いてできました」
ーーあとは国家試験に向けて課題をクリアしていく感じですね。
今井「もうすぐオールウェーブかワインディングかの発表があるので、これからは国家試験に向けての練習になると思います」
ーー大畑さんは夏にインタビューさせてもらった時はまだ明確な夢はないとおっしゃっていましたが、その後どうですか。
大畑「将来の職業としては美容師を目指そうかなと思ってて。それはずっと変わってないんですけど、最近選択授業が始まって、僕はマツエクを選択したんですね。資格が取れたら幅も広がるし、取っといて損はないし。一応目指そうとしてるのは美容師で、そこにプラスで別の選択肢も増やしていけたらいいかなと思ってます」
ーー授業は楽しいですか。
大畑「心も体もかなり疲れますけど、達成感を感じられた時はやって良かったなと思います」
ーーどういう時に達成感を感じますか。
大畑「何かが上手くいった時ですね。それこそ今日1回目の実技で時間内に入らなかったことは、自分の中で悔しい思いをしたので。できたからといって満足はしたらダメですけど、何かクリアできた時に達成感は感じます」
ーー今井さんは、ロゼ美のインスタで拝見しましたが、夏休みにアメリカに行ってこられたとか。
今井「元々私はアメリカに住みたい、働きたいという夢があって。それで夏休みを使ってアメリカのサロンに見学をさせてもらいに行きました。実際にアメリカに行ったことはなかったんですが、今回2週間渡米して色々経験して、“私、本当にアメリカに住みたいんだ”という決意ができて、そこから就職活動の方向も決めることになりました。将来の決定にとても大きな影響がありました」
ーー行ってみたことでイメージが明確になった?
今井「そうです。本当に行って良かったなと思いました。就職を決めるタイミングで少し迷っていたので」
ーーどこに行かれたんですか。
今井「ニューハンプシャーとニューヨークとボストンです。主に滞在したのはニューハンプシャーで、車でボストンに行ったり、ニューヨークは3日間ホテルに泊まりました」
ーーアメリカではどんなことをされたんですか?
今井「そのサロンがたまたま日本人オーナーさんのお店だったので、見学ではオーナーさんのお話を聞いたり、アメリカでの働き方、日本との美容室の違い、日本人との毛質の違い、考え方を色々教えていただきました」
ーー将来は現地の方がされているサロンに就職されるんですか。
今井「最終的にアメリカに住めたら、そこは特にこだわりはないです」
ーー日本での就職先はもう決まったんですか。
今井「決まりました」
ーーおめでとうございます!
今井「ありがとうございます」
ーー就職活動はどのぐらいされていましたか。
今井「1年生の頃は何も考えてなくて、アメリカに行きたいなという考えはずっとあって。アメリカで働くためのビザのことを7月頃に知って、アメリカに行ってから就職活動をして、決まったのが10月です。面接は1社で、サロン見学は5社行きました」
ーー実力をつけて将来はアメリカに行かれるんですね。何年ぐらい働いてからというのは決めておられますか?
今井「早くスタイリデビューして、3年を目処に考えています」
ーー前回のインタビューで、「ロゼ美で良い学校生活だったと言って卒業したい」とおっしゃっていましたが、実感としてはいかがですか。
今井「実感はあります。確実に入学時とは違いますし、技術の面でも全くわからなかったことを日々練習して、技術がつくことでより自信にも仕事にも繋がっています。あとはリーダーや実行委員をさせていただいて、まとめ方や皆を引っ張っていく力を学ぶことができたので、この2年間は本当に濃いものになってると思います」
ーー来年春からの意気込みをお願いします。
今井「美容室に行くと新しい自分に出会えたりするし、髪型1つで印象が変わるので。私にやってほしいというお客様が少しでも増えるように、憧れられる美容師になりたいです。自分を好きになってもらう1つの手段を与えられる人になれるよう頑張ります」
ーーそれだけ明確なら絶対その通りになりますね。頑張ってください。大畑さんは先輩の夢を聞いてみてどうですか。
大畑「いやーすごい。僕、全然英語もできないし、海外に憧れを感じることはありますけど、やっぱり“コミュニケーション取れないな”とか考えちゃうんで、住むまでは考えられないです。なかなかグローバルな考え方ができないので、本当にすごいと思います」
ーー大畑さんもまだ入学半年で、これから夢や目標も変わっていくかもしれないですね。
大畑「ずっと自分の中で思ってるのは、技術に関しては当たり前に練習しないといけないんですけど、人間性は今後どんな道に進んでも見られていく部分ではあると思うし、簡単に身につけられるものではない。習慣が大事になってくると思うので、技術のことも考えながら、しっかり人としてもどうしないといけないかを考えたいです。僕はいっぱい失敗する人間なので、 人間性で救われる部分がちょっとでも増えたらいいなとは思って。もちろんそこに甘えないようにしないといけないですけど、人との関係を築くために信頼してもらえる人間にならないといけないと思うので、気が抜けてしまうこともあるとは思うんですけど、できるだけその時間を作らず、とにかく日々真面目に頑張っていけたらなと思います」
今井さんも大畑さんも、学校生活の中で様々な役割や経験を通して、とても逞しく成長されているなと感じました。『サロンプロモ』は今後もロゼ美さんを応援していきたく思います。
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