今は多様化・ジェンダーレスの時代です。様々な人種の人がいて、様々な性的指向の人がいます。それにあわせて、美容室も価値観をアップデートしていく必要があります。LGBTQ(性的マイノリティ)という言葉を聞いたことがあるでしょう。これまでは「身体的性別と性自認が同じで、異性を愛することが普通」とされてきた世の中でした。日本ではまだ同性婚が認められていませんが、LGBTQの人々は日本にもたくさんいらっしゃいます。しかし、様々なセクシャリティが存在することが認知され始めた現在でも、これまでの常識による思い込みなどから、マイノリティの人は差別を受けやすいという現実があります。彼らは安心して通いやすい美容室を探しているのではないでしょうか。また、お客様だけでなく美容学生にもLGBTQの方はいるはず。人材難の美容業界にとっては、LGBTQフレンドリーサロンであることを示すことで、セクシャリティが仕事に影響するかもと不安を考えている学生に「自分にとって働きやすいかも」と感じてもらえる可能性があります。今回はLGBTQフレンドリーサロンとは何か、アピールするにはどうすればよいかを考えていきます。
LGBTQの定義とは
LGBTQとは、Lesbian(レズビアン/女性同性愛者)、Gay(ゲイ/男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル/両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー/性自認と身体的性別が異なる方)、そしてQueerやQuestioning(クイアやクエスチョニング/自分の性がわからない方)の性的マイノリティ全般を表す言葉です。
LGBTの割合は、各民間団体の調査方法によりバラつきがありますが、日本には人口の8%~10%前後(10~13人に1人)いると言われています。これは日本の全人口における「佐藤」さん、「鈴木」さん、「高橋」さん、「田中」さんの割合(約5%、20人に1人)よりも多い割合です。(参考サイト:https://jobrainbow.jp/magazine/lgbt-percentage)
皆さんも、日本で最も多いとされる苗字の「佐藤さん」(約1.4%)に人生のどこかで一度は出会ったことがあるでしょう。それよりもLGBTが多い割合だということは、思っているよりもたくさんいる、ということがなんとなくおわかりいただけるのではないでしょうか。「自分の周りにはいない」と思う方もおられるかもしれませんが、前述した通り差別や否定を恐れてカミングアウトしていない人が約70%もいるのです。そのことを留意しておくだけでも意識や行動がきっと変わるはずです。
「無意識に傷つけていた」というマイクロアグレッションに注意
性的マイノリティーが認知され始めてきたとはいえど、見た目や思い込みで判断したり決めつける人が多いことは事実です。気づかないうちに自分もやっているかもしれない「マイクロアグレッション」に注意することが大切です。
“マイクロアグレッション(英語: Microaggression)とは、1970年にアメリカの精神医学者であるチェスター・ピアスによって提唱された、意図的か否かにかかわらず、政治的文化的に疎外された集団に対する何気ない日常の中で行われる言動に現れる偏見や差別に基づく見下しや侮辱、否定的な態度のこと。”
たとえば「女性は男性が好き」という思い込みから、レズビアンの方に「彼氏いないんですか?」と聞いてしまったり、「見た目が男性だからメンズファッションの雑誌を出しておこう」と、トランスジェンダーの方にメンズファッション誌ばかり提供してしまったり。その時、当人はどう感じるでしょうか。
マイクロアグレッションは日常に組み込まれた無意識の差別。ほとんどの場合、悪気がありません。発言した本人は相手を傷つけようと思っているわけではなく、単なる会話のきっかけとして聞いたということがほとんどでしょう。言われた当人も相手に悪気がないことがわかっているからこそ、モヤモヤとした気持ちを抱えることになるのです。それが日常的にどんどん積み重なっていったら、かなりのストレスになることは想像できますよね。マイクロアグレッションは、知識のなさから起こってしまうもの。知識をつけたり、自分の中に「こういう考えの人もいるんだ」という視点を持つことで防げるはずです。ぜひスタッフにも周知しましょう。
ジェンダー関係なくアレンジが可能な髪型の提案をする
身体的性別と性的自認が違う方にとって「見た目が女性だから、男性だから」といった価値観を押し付けられるのは苦痛です。たとえば、自分はベリーショートにしたいのに「女の子なんだしやめておいたら?」と美容師さんに言われたといったお話がありますが、一度そのような体験をすると絶対にリピーターにはなってもらえません。自分の価値観や物差しで決めつけず、お客様の希望を否定しない。根掘り葉掘り事情を聞かない。これはLGBTQのお客様に接する時のみならず、通常の接客にも通じることです。そして、お客様が性的マイノリティの方であるとわかっている場合は、ジェンダー関係なしにアレンジが可能な髪型の提案をするとよいでしょう。トレンドをうまく取り入れて提案すると、「この美容師さんは理解してくれている」と安心してもらえます。インスタグラムなどでスタイルを投稿するのもオススメです。
性的マイノリティーは、美容に関する消費が積極的
博報堂DYグループのLGBT総合研究所(東京・港区)が2017年に公表した調査によると、LGBTは異様美容や化粧など、「見た目」に関する消費が活発だということが明らかになっています。(参考記事:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO46341000Q9A620C1H49A01/?page=2)
「理想の自分になりたい」という意識が強いからこその行動なのでしょうか。一般の人よりも美容にお金をかけるということは、美容室の売り上げも上がる可能性があります。
HPなどでアピールをして、来店しやすい雰囲気をつくる
LGBTQフレンドリーサロンであることをお客様にわかってもらうようにするには、簡単なやり方としては、SNSのプロフィール欄に「LGBTQフレンドリーサロンです」と書いたり、「#フレンドリーサロン」「#ジェンダーレス」などハッシュタグをつけて投稿したり、レインボーのアイコンをつけるなどがあります。
また、ブログに「ジェンダー関係なくアレンジが可能な髪型の提案をしていること」や「スタッフの取り組み、意識」などの話題を出したり、スタッフの中にLGBTQのメンバーがいれば、想いを発信するなどしてフレンドリーサロンであることをPRすれば、LGBTQの方にとって来店しやすいサロンになります。
さらにHPでアピールする方法としては、メインビジュアルのモデル写真をLGBTQのモデルさんにしたり、HPのデザイン(背景やバナー)にレインボーモチーフを使用したり、ギャラリーページにジェンダーレスな髪型やスタイルをアップしたりするのもオススメです。
ほかには、LGBTQの方も積極的に取り込んでいきたいというサロンであれば、コンセプト文でLGBTQについて触れたり、スタッフにLGBTQの方がいればプロフィールやメッセージでLGBTQについて語るなども良いですね。
オリジナルデザインのサロンプロモだからこそ、LGBTQの方々に配慮したデザインなど相談や対応も可能です。HPをリニューアルされる際には、ぜひサロンプロモにご相談ください。