独立して、新しく自分の美容室を開業したいと思う時、オープンまでに行わないといけない準備のひとつに「開業届の提出」があります。今回の記事では、美容室の開業に必須の「開業届」の書き方や提出方法についてご紹介します。
美容室開業までの流れ
「いざ独立!」と思い立っても、すぐに独立できるわけではありませんよね。まずはサロンのコンセプトや事業計画をしっかりと設計して、資金計画を立て、物件を探し、店舗構造を保健所に相談し、資金を調達し、内装工事を行い、機材や材料を購入し、人材を探し、開業の手続きを行い、集客し、ようやくオープン、という流れになります。とにかくタスクがたくさんある状態。こなしていくのも大変ですが、万が一開業に必要な書類を提出し忘れると、開業できなくなってしまいます。開業届を提出するタイミングはおよそ、店舗の引き渡しが終わり、オープンの目処が立ってきた頃。お店を開店する日から逆算して2~3週間前には提出しておきましょう。
開業届とは
開業届は、新しく事業を始める時や、店舗の新設、移転、または廃業する時に税務署へ提出する書類のことで、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。もちろん美容室を新しくオープンする時も開業届を提出しないといけません。
税務署に開業届を提出することで、所得税と消費税の申告を正しく行うことができます。開業届は、事業を開始してから1ヶ月以内に提出することが推奨されていますが、提出しないことによる罰則はありません。 ただし、青色申告で確定申告をする場合は必ず提出が必要です。また、銀行口座の開設手続きなどで、開業届の控えの提出を求められることがありますので、忘れないように提出しましょう。
開業届を出すと「青色申告」ができる
確定申告には「白色申告」と「青色申告」があります。「白色申告」は非常に簡単な計算で申告できますが、基本的に税制上の優遇措置はありません。一方で「青色申告」は、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができたり、サロンの運営を家族に手伝ってもらった場合のお給料を経費にできたり、赤字を3年間は繰越すことができたりと、かなり大きな節税対策になります。青色申告をできるようにするためには、事業開始日から2ヶ月以内か、青色申告をしようとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。開業届と一緒に提出してしまうのが1番スムーズでしょう。
店舗を構える場合は「開設届」が必要
ちなみに美容室を開業・新設する場合、お店を「美容所」もしくは「理容所」として登録する必要があるため、「開設届」を保健所に提出しなければなりません。後日お店に保健所の人が来て、構造や設備などが基準を満たしているかをチェックしてもらい、合格となってようやくオープンすることができます。書類の名前が似ていますが、「税務署に開業届」「保健所に開設届」と覚えておきましょう。
開業届の記入方法
美容師が開業届を提出する場合の記入方法です。窓口で提出する時は、印鑑も忘れずに持参しましょう。提出自体は非常に簡単で15~20分もあれば終わります。
①.「開業」に丸をつけます。
②.提出先の税務署と提出日
最寄りの税務署の名前、開業届の提出日を記入。
管轄の税務署がわからない場合は、国税庁HPで確認できます。
③.納税地
「住所地」には自宅の住所・電話番号を記入。店舗を納税地にしたい場合は「事業所等」にチェックを入れ、店舗の住所・電話番号を記入します。
④.氏名・生年月日・個人番号
氏名、生年月日を記入。個人番号はマイナンバーのものです。
⑤.職業
「美容師」と記入。
⑥.屋号
サロン名が決まっている場合は記入。
⑦.届出の区分
「開業」または「新設」に丸をつけます。
⑧.所得の種類
「事業所得」に丸をつけます。
⑨.開業・廃業等日
開業した年月日を記入します。
⑩.開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
青色申告を希望する方はここで「青色申告承認申請書」を「有」にチェック。
消費税に関する「課税事業者選択届出書」は開業時には関係がないので、チェックはなしでOKです。
⑪.事業の概要
「美容室の運営、ヘアケア商品の販売」や
「ヘアカットやカラー、パーマ、スパなどの施術、シャンプーなどのケア商品の販売を行います」と記入。
⑫.給与等の支払の状況
働くのが自分1人の時は空欄でOKですが、スタッフを雇う場合や家族に働いてもらう場合はこの欄を記入します。専従者=家族従業員のこと。使用人=アルバイトなどを含む従業員のこと。
給与の決め方は「月給」「日給」「時給」のどれかを記入しましょう。
源泉所得税は月の給与が88,000円を超える場合のみ「有」にチェックを入れます。給与支払いを開始する年月日は、最初の給与支払日を記入します。
⑬.関与税理士
税理士と顧問契約、もしくは税務申告代理契約を結んでいる場合のみ、税理士の氏名・連絡先を記入します。
開業届の提出方法
開業届を記入したら、次は提出です。開業届の提出方法には以下があります。
1.最寄りの税務署に行って直接用紙に記入し、窓口に提出(時間外は時間外収受箱への投函も可能)
2.国税庁のホームページからダウンロードしてプリント、記入して税務署に郵送
3.会計ソフトからネットで提出
税務署に直接行けば窓口で不明点を教えてもらえますし、ネットから提出すれば時間や手間を省くことができます。自分に合った方法で提出しましょう。
開業届を出した後は、ホームページを制作しよう
ここまで、美容室を開業するのに必要な手続きや、必要書類の書き方について解説してきました。屋号を決めたり、開業届を出すと「いよいよやるぞ」と気持ちが高まることと思います。ぜひその熱が冷めないうちに、次なるオープン準備を進めましょう。
次に行うのは集客です。事業のスタート時にホームページがあると良い理由は、これまでも『サロンプロモマガジン』でご紹介してきました(以下の記事をご覧ください)。
注目の集まりやすい新規オープン時に、しっかりサロンのホームページを制作して、見込み客を逃さないようにしましょう! また、オープン直前にバタバタしないように余裕を持って準備を進めると、スムーズに事業をスタートすることができますよ。ホームページ作成は、10年間で230サロンの実績がある『サロンプロモ』にお任せください。スケジュール感やどんなホームページにしたいかの内容など、なんでもお気軽にご相談くださいませ。