「いつか自分のサロンを持つのが夢だ」「数年後に独立しよう」と決意を固めていたり、「これから開業準備を進めていこうと思っている」という美容師さんは多くいらっしゃることでしょう。美容室の開業には非常に多くの工程があり、様々な準備が必要です。今回の記事では、美容室開業までの流れと、やるべきことをご紹介します。やるべき申請や手続きができていないと、サロンがオープンできないといった事態になる可能性も。事前に開業に必要な準備と知識を身につけて、夢への第一歩を踏み出しましょう。
美容室開業までの流れ
美容室を開業するまでには、概ね以下の工程があります。あらかじめ工程を知っておくことで、どのタイミングで何をすれば良いかを把握できます。
①事業計画書(創業計画)の作成
開業には、事業計画書が必要です。これはサロンを作る上で最も重要なものだと言っても過言ではありません。
事業計画書とは、「どのように事業を運営していくのか、具体的な行動を内外に示すための計画書」です。資金計画や売上予測、かかる経費の予測、顧客の収容人数などを予測して作成するもので、金融機関や投資家から資金を調達したり、企業に協力を要請したり、事業承継を行う際に用いられます。融資先は、返済能力があるかどうかを事業計画で確認します。
最初の準備としてまずはサロンコンセプトとターゲット層を設定します。コンセプトが定まると、立地や内装デザイン、メニューや価格なども決めやすくなります。ここでは頭の中のイメージを具体化することが非常に大切です。
事業計画書は自身のサロンのイメージを固めるためにも有効ですが、融資担当者に見てもらうという役割が最も大きいため、「なぜこのタイミングでサロンを作るのか」ということに納得してもらわねばなりません。職務経歴書、開業のきっかけ、経営理念、集客方法、他店と差別化できるポイントや戦略、さらに「サロンを作るのにいくらお金をかけるのか」という資金計画と「サロンを作った場合どれぐらいの収益が出るか」という売上予測や経費予測、収支のシミュレーションも盛り込みます。
「どんな客層に向けて、どのようなサービスを提供し、どれくらいの利益を上げるのか」。とにかくここを何度も見直して練り上げることで信頼性が高まります。なお、事業計画書(創業計画書)のテンプレートは日本政策金融公庫のHPからダウンロードできます。もちろん自分で作成してもOKです。
②物件探し&商圏調査
事業計画書をおおかた書き終えたら、次は物件と出店場所を探します。出店場所を決める際に行うのが商圏調査です。
商圏調査とは、様々なデータから商圏の特性を割り出して、その地域がサロンのコンセプトやターゲット層とマッチするか分析することです。出店可否の判断材料になるばかりか、売上予測や経営戦略を立てる上で欠かせないものです。その土地の周囲にどんな層や所得水準の人が住んでいるか、どんな住居タイプが多いのか、競合店はないか、交通量や道路の位置関係、エントランスや駐車場には入りやすいか、急な坂道や線路などの足が遠のく要素がないか(つまり顧客は通いやすいか)などの要素を、地図と自分の足を使って見極めます。
物件のチェックポイントは広さや家賃、電気・水道などの設備仕様が美容室の営業に向いているかどうかです。また、シャンプー台や鏡面セットを置いた場合の動線を意識したレイアウトが叶うかどうかも重要です。オープンしてから「思ったよりも狭くて動きにくい」「動線が悪くぶつかってしまう」などといったことにならないようにシミュレーションは欠かせません。そして家賃は収支計画に基づいて妥当な金額かどうかを見極めます。不動産屋さんに相談しつつ、じっくりと時間をかけて物件を選びましょう。ただし、物件を選ぶための基準がないとなかなか決められなくなってしまうため、事業計画書を活用して判断基準を作っていくことをおすすめします。もしここで当初立てていた事業計画の家賃と差が出てきた場合、再度収支計画を見直します。
無事に物件が見つかったら、テナントを仮契約し(まだ契約はしない)、融資申請や店舗デザインなどの打ち合わせを進めていきます。
③融資額を決めて資金調達
サロンをオープンするためには開業資金が必要です。だいたい相場は1000万円程度と言われています。開業資金の全てを自分で用意する必要はなく、自己資金と融資を組み合わせることが一般的です。ただし自己資金がゼロの状態で融資を受けるのは現実的ではありません。開業資金のうち全体の2分の1~3分の1は自己資金で確保できるように計画を立てましょう。
残りの資金は融資によって調整します。物件が決まったら契約の前に開業費用を算出して希望融資額を決めます。融資担当者に「何にいくらお金がかかるか」を申告し、実際にかかる費用の見積もりを各業者にとっていきます。見積もりが集まると具体的な金額が見えてくるので、最初に作った資金計画と比較して事業計画書を修正します。
そしていざ融資を受けます。融資を行う金融機関のうち、美容室の開業で最もよく利用されているのが日本政策金融公庫です。創業者への貸し出しに力を入れているため、実績がなくても審査が通りやすいのが大きな特徴で、「無担保」「無保証」「低金利」で融資を受けられるメリットがあります。他には民間の金融機関や、自治体の開業者への制度融資などがあります。ここまで行ってきた準備やサロンへの想い、戦略をしっかりと担当者に伝えて審査を待ちます。物件の契約は融資が決まってからにしましょう。万が一融資に落ちた場合、すでに契約をしてしまっていると大変です。まずは物件の申し込みだけ行っておきましょう。
開業資金についてはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
新規オープンサロンの開業資金は、何にいくら必要?
https://www.salons-promo.com/salons-promo-magazine/2022/6/22
④店舗内装プランニング&工事
無事に融資が決まり物件を契約したら、店舗デザインの設計と施工会社を選定します。特にポイントになるのは内装業者選びです。
美容室の設計・施工は、セット面の間隔やシャンプー台の位置に気を使う必要があるなど、他業種の店舗設計にはない要素も多く、専門知識が必要となります。安いからといって美容室の設計や施工経験がない業者に依頼してしまうと、完成後に店内の導線が悪く椅子同士がぶつかってしまったり、何らかの不具合が出てしまう可能性があります。そうなると再工事が必要となり、予定していたオープン日に間に合わなかったり、追加工事の費用が余計にかかってしまいます。業者選びは、経験と実績のある業者を選ぶことが大切です。美容室の施工経験がある業者を何社かピックアップして見積もりを請求しましょう。見積書を請求する際に、各会社が手掛けた事例を見せてもらうと安心です。
⑤求人募集&採用
自分以外にスタッフを雇う場合、サロンの設計図が完成して工事を開始するタイミングで求人募集をかけ、面接を行いましょう。オープニングスタッフであれば人も集まりやすいので、開業に向けて計画的に採用活動を進めていきましょう。
⑥開業手続き
忘れてはいけない手続きのひとつに、開業手続きがあります。保健所に「開設届」を、税務署に「開業届」を提出しましょう。保健所はオープン前に立ち入り検査などがあるため、店舗の引き渡しが終わる頃、税務署には開業日から逆算して2~3週間前あたりには提出しておきましょう。同時に「所得税の青色申告承認申請書」も提出しておくと、確定申告の際に便利です。
また、施術中にお客さんに怪我をさせてしまった、施術中にお客さんの衣類を汚してしまった、備品を壊してしまったなどの場合に適用できる「損害賠償保険」があります。保険により保障内容は異なりますが、美容室に特化した損害賠償保険があるため、加入するかどうかを検討しましょう。保険の加入は義務ではありませんが、美容室を安心して経営していくためにも、加入することをおすすめします。
⑦集客(ホームページなどを作成)
オープンまで2ヶ月程度になると、集客のための広報活動を行う時です。ホームページやチラシ、広告を制作したり、名刺やリーフレットを作ってお店をアピールする準備を整えます。開業前で資金面に不安があったとしても、新規オープン時の広告宣伝は非常に重要なので、ここを削減するのは得策ではありません。新規オープン時にどれだけ広報活動を行えたかどうかで、開業後数ヶ月の売上が決まります。
サロンプロモでは、ホームページやムービー、チラシ、名刺、紹介カードなどのツールを一括で制作することが可能です。実績はこちら。ぜひお気軽にご相談ください!
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新規オープンチラシってどんな役割があるの?配り方は?
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開業時こそ、ホームページが必要なわけ
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⑧スケジュール&オペレーション確認
とうとうオープン直前。備品や材料がきちんと揃っているか、営業が問題なく始められる状態かどうかを確認しましょう。そして、スタッフと一緒にオープン当日の接客の流れをシミュレーションしておきましょう。改善点や懸念事項を洗い出して、オープン当日までに解決しておくことが重要です。
⑨オープン
長い開業準備を経て、保健所からの許可も下り、いよいよサロンがオープン! 一般のオープン日より前に、プレオープンという形でオペレーションを確認しておくと良いかもしれません。事前に何度も流れを確認しているかと思いますが、実際に動いてみると新たな欠点や課題が生じることも。なるべくそのようなことが起きないよう、当日にお客さまを気持ちよくお迎えできるようにしっかり準備をしておきましょう。
美容室開業までの流れは以上です。実際には細々とした作業がたくさん出てきます。1人美容室だったとしても、行う準備に変わりはありません。開業計画が動き始めると、同時に複数の作業を同時進行で進めないといけないため、1人美容室だと特に人手が少ない分、自分自身の手を空けてしっかりと開業準備に割ける状態にしておくことが大切です。事前に「このポイントでこの作業が必要」だと把握しておくことができれば、余裕ができて様々な予測不可能な事態にも対応できます。プロに任せられるところはプロに任せることも、スムーズに開業するための進め方です。
新規サロンの集客ツールには『サロンプロモ』
上で述べたスケジュール⑦の集客を行い始める時期に必要なのが、ホームページなどの広報活動です。だいたいの目安としてはオープン2~3ヶ月前。サロンプロモでは、新規オープンサロン様の実績が数多くございます。しっかりとしたヒアリングを行い、コンセプトやターゲットに沿ってサロン様の魅力を最大限に引き出すホームページをお作りいたします。新規オープンの心強いパートナーとしてお役立てください! 気になる方はお気軽にお問い合わせくださいませ。
オープン当初から自社予約システムを導入するなら『SALON5489』
さらに、制作したホームページに予約システムを導入しておくと、より効果的に集客を行うことができるでしょう。サロンプロモの運営する『SALON5489』は、徹底的にお客様の目線に寄り添った新しい予約システムです。予約システムを通して事前にお客様とコミュニケーションを取ることで、お互いにとって安心な接客を行うことができます。大手美容室検索サイトもうまく活用しながら、並行して予約を獲得していきましょう。